憧れの存在

今や憧れの存在としてすっかり、定着どした「セレブ」。セレブちゅう言葉は元来、有名人・著名人ちゅう意味どすけど、日本ほなはんなりで裕福な生活をしたはるお金持ちといったニュアンスで使われへん傾向がおます。高級住宅街の豪邸や高級マンションに住まいを構え、一流ブランドの調度品がセンスよう並べられた室内。

なん台モン高級車をその日の気分で使いわけ、べべやバッグもみなあちらブランド。ＶＩＰ専用スポーツクラブで優雅にトレーニングと年に数回のあちら旅行…。これやけイメージしはるとけなるい限りどすけど、なんぼお金に不すきしなくても、愛のへん生活ほな心は満たされまへん。


そないセレブの心の隙間に目をつけたネカマがやはった。４畳半のボロアパートに住むこのネカマは、孤独で満たされへんセレブ婦人になって、出会い系サイトの掲示板に書き込みを始めたんや。
『３８歳の人よめはんどす。主人は仕事人間で１年のほとんどをあちらで生活していますわ。うちは○○のマンションで毎日を１人ぼっちで過ごしていますわ。家は広すぎまんねんし、５台おます車もほとんど動かすことはあらしまへん。○○ブランドの洋べべやバッグもほとんど着ることがへんさかい、おお連れに差し上げてしもたんえ。いまはスポーツクラブにいかはったり、その後でおお連れとホテルで御膳しはるにゃけが日課と言えるでっしゃろ。お金に不すきどしたことはあらしまへんが、ほんでも何やがモンたらんのどす。どなたか、うちの心を満たしておくれやすまへんか？』

この書き込みを見たおとこし性が、あんじょう行かはったら貢いで貰える、車の１台くらい貰えるかもしれへんと、すぐにメール返信したんでっせぇ。大金を手にでけるなら国際結婚の年齢も容姿も多少しんぼどしたらええし、マシな女の人やったらお金も身体も手に入れられへんと睨んやのどす。

『貴おなごのさみしーお気持ちが伝わってきたんや。なんぼ恵まれた環境やて、寄り添ってくれへん愛がへんと満たされへんモンどす。貴おなごの寂しさをわしに話してくれまへんか？わしは、お金はあらしまへんが熱い気持ちはどなたはんかて負けへん自信がおます。わしがきっと貴おなごを笑顔にしてみせまんねん』
こないな内容のメールがセレブネカマの元に、続々と届おいやしたそうどすよ。